私は選んだはずだった、眠たい目をした君を。
私は選んだはずだった、年中冷たい君の手を。
私は選んだはずだった、ちょっとだけ薄いすね毛の君を。
私は選んだはずだった、夏の終わりの青々しい苦瓜を。
大切に大切にして開いたら、少しだけ変わっていた。
少しだけ少しだけのはずなのに、点々と染まっていた。
点々だったそれは、いつのまにかいつのまにか大きくなって、赤くなって赤くなってダメになる。
こんな事考えるのは、今夜のゴーヤチャンプルの出来が心配なのと、
君の悲しい眼が目の前に鮮明に浮かぶからなのかな。
それなのにそれなのに、声は笑って許してくれそうだからかな。
夏の終わりの苦瓜は、そんな事そんな事どうでもよさそうに、ただただそこに横たわっている。横たわって横たわって、切られるのを待っている。いつかの私みたいに。